住宅ローン控除がなくなる?マイホーム検討中の方が知っておくべき最新情報と対策をくわしく解説

マイホーム購入で大きな助けとなる住宅ローン控除。2024年から内容が大きく変わります。「住宅ローン控除がなくなる」という噂を耳にした方もいるかもしれません。

結論からいうと、住宅ローン控除自体がなくなるわけではありません。しかし、省エネ基準を満たしていない住宅は、住宅ローン控除を受けられなくなります。

この記事では、住宅ローン控除の基本的な内容や改正情報、今後の対策を詳しく解説します。

目次

住宅ローン控除がなくなるわけではない

2024年から住宅ローン控除制度が完全になくなるわけではありませんが、大きく変わります。主なポイントは次の3つです。

  • 省エネ基準を満たさないと住宅ローン控除が受けられない
  • 子育て世帯・若者夫婦世帯「以外」は住宅ローン控除額が縮小
  • 中古住宅は現行のまま

以下、順番に解説します。

省エネ基準を満たさないと住宅ローン控除が受けられない

2024年以降に建築確認申請に合格した新築住宅の場合、省エネ基準を満たしていないと住宅ローン控除の対象になりません。

地球温暖化対策の一環として、省エネ性能の高い住宅の普及を促進するためです。具体的には、以下のいずれかの省エネ基準が必要です。

  1. 認定住宅:良好な状態で長期間使用できる優良な住宅やCO2の排出を抑えた住宅など
  2. ZEH水準省エネ住宅:断熱等性能等級5以上、かつ一次エネルギー消費量等級6以上の住宅
  3. 省エネ基準適合住宅:断熱等性能等級4以上、かつ一次エネルギー消費量等級4以上の住宅

上記3つの省エネ基準を満たさない住宅は、2024年から原則として住宅ローン控除を受けられません。住宅購入前に上記の省エネ基準を満たす住宅かどうか、建築主に確認しましょう。

ただし、2023年末までに建築確認申請に合格した住宅は、省エネ基準を満たしていなくても、住宅ローン残高2,000万円まで10年間の控除が可能です。

子育て世帯・若者夫婦世帯「以外」は住宅ローン控除額が縮小

2024年から住宅ローン控除の対象となる借入限度額が、住宅の種類に応じて500万〜3,000万円縮小されます。

出典:国土交通省「住宅ローン控除の省エネ要件について」

ただし、少子化対策の観点から子育て世帯・若者夫婦世帯は、2024年に限り縮小前の限度額が適用されます。適用されるのは、2023年の借入限度額です。

住宅の種類借入限度額(2024年)控除期間
子育て世帯・若者夫婦世帯その他の世帯
認定住宅5,000万円4,500万円13年間
ZEH水準省エネ住宅4,500万円3,500万円
省エネ基準適合住宅4,000万円3,000万円
その他の住宅0円

子育て世帯・若者夫婦世帯とは、2024年末に以下のいずれかを満たす世帯です。

  • 夫婦どちらかが40歳未満の世帯
  • 19歳未満の扶養親族がいる世帯

イメージは、30代までの若者夫婦か、高校生までの子どもがいる世帯等が住宅を購入する場合です。

ただし、子育て世帯・若者夫婦世帯であっても、省エネ基準を満たしていない住宅は住宅ローン控除の対象になりません。

中古住宅は現行のまま

中古の認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅は、2024年・2025年も2023年と変わらず借入残高3,000万円まで、10年間の住宅ローン控除を利用できます。

住宅の種類借入限度額
(2024・2025年)
控除期間
認定住宅3,000万円10年間
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
その他の住宅2,000万円

省エネ基準を満たしていない住宅であっても、中古住宅は住宅ローン残高2,000万円まで10年間の住宅ローン控除が利用可能です。

つまり、省エネ性能を満たしていない住宅を購入するのであれば、新築ではなく中古住宅を購入すると、節税効果が期待できます。

住宅ローン控除の条件や控除額

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合に、所得税と住民税を減額できる制度です。正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。

この制度を利用することで、マイホーム購入にかかる金銭的な負担を軽減できます。

住宅ローン控除を受けるための条件

住宅ローン控除の主な条件は、以下の通りです。

  • 自分で住むための住宅であること
  • 住宅を建ててから6カ月以内に入居していること
  • 控除を受ける年の12月31日に、その住宅に住んでいること
  • 合計所得金額2,000万円以下であること
  • 床面積が50㎡以上であること
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
  • 2024年以降は省エネ基準を満たすこと

くわしい条件は、国税庁サイトをご確認ください。

住宅ローン控除は最長13年間、ローン残高の0.7%を控除できる

住宅ローン控除は、以下の計算式で算出した金額を所得税や住民税から控除できます。

たとえば、子育て世帯が2024年に5,000万円を借り入れて住宅を購入し、年間150万円ずつ返済する場合を考えてみます。

年数ローン残高住宅ローン控除額
認定住宅ZEH水準省エネ住宅省エネ基準適合住宅一般住宅(2023年確認) 一般住宅
(限度額)
5,000万円
(限度額)
4,500万円
(限度額)
4,000万円
(限度額)
2,000万円
適用なし
1年目4,850万円339,500円315,000円280,000円140,000円0円
2年目4,700万円329,000円315,000円280,000円140,000円0円
3年目~11年目、省略
12年目3,200万円224,000円224,000円224,000円0円0円
13年目3,050万円213,500円213,500円213,500円0円0円
合計3,594,500円3,552,500円3,395,000円1,400,000円0円

上記の例での控除額は、13年間の合計で最大約359万円です。つまり、住宅の種類によって300万円以上も節税できます。

住宅ローン控除3つの注意点

節税効果の大きな住宅ローン控除ですが、次の3点に注意が必要です。

  • 初年度は確定申告が必要
  • 支払うべき税金が少ないと、住宅ローン控除が使い切れない
  • 2024年以降は証明書が必要

順番に解説します。

初年度は確定申告が必要

住宅を購入した年は、確定申告をしなければ住宅ローン控除を利用できません。確定申告は、例年2月16日から3月15日までにおこないます。忘れずに確定申告しましょう。

確定申告で必要となる主な書類は、以下のとおりです。

  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 住宅ローンの年末残高等証明書
  • 登記事項証明書
  • 住宅の売買契約書

なお、2年目以降は、年末調整の際に会社へ「住宅借入金等特別控除証明書」を提出すると、住宅ローン控除を受けられます。

支払うべき税金が少ないと、住宅ローン控除が使い切れない

住宅ローン控除は、所得税や住民税を減らす制度です。控除額が実際に支払う税金を超えると、その超過分は控除できません。

たとえば、住宅ローン控除が30万円あっても、所得税と住民税が合計20万円しかなければ、差額の10万円は控除されません。翌年に繰り越すこともできないため、その部分は無効になります。

次のような場合、支払うべき税金が少なく、住宅ローン控除を使い切れない可能性があります。

  • 所得が少ない
  • 医療費控除や扶養控除など、他に適用される控除が多い

住宅ローン控除を最大限に活用するには、所得税や住民税が十分あるかを確認することが大切です。源泉徴収票や住民税の通知書で、どれだけ税金を払っているかチェックしましょう。

2024年以降は証明書が必要

前述のとおり、2024年以降、省エネ基準を満たさない住宅は住宅ローン控除を利用できません。

対象の住宅かどうかを確認するため、確定申告の際に以下のいずれかの証明書が必要です。

  • 建設住宅性能評価書
  • 住宅省エネルギー性能証明書

出典:国土交通省「住宅ローン減税省エネ要件化等についての説明会資料」

証明書は、建築業者や設計事務所から取得できます。忘れずに添付しましょう。

2026年以降の住宅ローン控除は未定

2026年以降の住宅ローン控除制度は、2024年7月時点では未定です。

住宅購入を支援する重要な制度であるため、住宅ローン控除制度が完全になくなる可能性は低いと考えられますが、2026年以降も控除額の縮小や省エネ基準の強化など変更がおこなわれる可能性は十分にあります。

2026年以降の制度詳細は、例年通りであれば2025年末頃に「税制改正大綱」で発表されます。2026年以降に住宅購入を検討している方は、発表を待ちましょう。

まとめ

住宅ローン控除は2024年以降も継続しますが、重要な変更点があります。

  • 省エネ基準を満たさない住宅は控除対象外。
  • 子育て世帯・若者夫婦世帯以外は控除額が縮小。
  • 中古住宅は現行制度を維持。

このため、住宅選びの際には省エネ性能を満たしているかが重要です。また、新築だけはなく中古住宅も検討する必要があるでしょう。

住宅ローン控除を受けるためには、初年度に確定申告が必要です。2024年以降は省エネ基準を証明する書類も忘れずに添付しましょう。

2026年以降の住宅ローン控除の制度については未定ですが、住宅購入を考えている方はこれらの変更点を踏まえて計画をたててください。

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この記事を書いた人

神戸市の税理士事務所

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